さて、松原さんの座右の銘は「鈍々楽」。白山三郎さんの著書「どうせ、あちらへは手ぶらで行く」の中にある言葉だ。今まであれこれ苦労しやってきたが、もうこれからは、どんどん楽に生きて行こうというもの。
■ 心の老化は「くれない指数」
曽野綾子さんの『老いの才覚』に「くれない指数」という言葉が紹介されている。
心の持ち方の老化指数は、その人の社会依存度で決まる。「嫁が食事を食べさせてくれない。」、「政府がお金をくれない。」、「親切にしてくれない。」など、1日に何回「くれない」をいうかを数えれば老化がわかる。生き生きしている人は、逆に人に与えることを知っている。
■ 老化しないためには自立と自律
自立は肉体的に立つこと、また、経済的に依存しないこと。
自律は、自分自身で考え行動すること。
■ 年をとるのはマイナスばかりではない。
経験がある。 知恵がある。 人脈がある。 時間がある。
これをいかに活かすか。
■ 柳生博「八ヶ岳倶楽部」
柳生博さんは、八ヶ岳に7000平方メートルの土地を購入。カラマツを伐採し、雑木林に植え替え、木道をつくり無料で開放した。奥さんがオリジナルフルーツティーをいれる。その後、鉄や木工職人、オブジェ、染色家、陶芸家がどんどん集まりひとつのサロンができた。現在は年間30万人の人たちが集まる。
それぞれ、時間や経験、人脈を活かし、生き生きと生活している。
■ ごちそう会
松原さんは1000回ごちそう会をやりたいという。ごちそうといっても贅沢な食事のことではなく、値打ちな食材を買い、手間隙かけた料理、友人との1時間半位の楽しい会話のこと。
友人が瑞浪の田舎の廃屋を買った。65歳過ぎてから陶芸家になった。近所では自然薯も掘れる。車が好きなやつに運転してもらい瑞浪へ出かける。農家の友人に米を用意してもらう、そして、自分で作った皿や茶碗で食べる。それぞれが、趣味や持てるものを活かして、集い楽しむ。
百数十人ぐらいの皆さんが1時間ほどの講演に聞き入っていたが、「老い」をマイナスにとらえるだけではなく、前向きに考えるきっかけにされた方も多かったのではないだろうか。 |