座禅のすすめ
 
はじめに
 坐禅は、仏教に入る正門であります。釈尊が、ご出家後の六年の苦行を止め、《ありとあらゆるものの、あるべきすがたを正しく見極める》という立場の坐禅によって、《世の中のすべての存在は仏の姿、さとりとしてあらわれている》という悟りをお開きになったからです。

 坐禅とは、文字の通り坐る禅ということです。禅とは梵語で「ゼンナ」という言葉に、音を表す「禅」という文字を当てたものです。意味の上からは、定とか静慮とか、思惟修とか訳されます。これは、ものごとの真実のすがた、あり方を見極めて、これに正しく対応していく心のはたらきを調えることをいうのです。そのためには、心を一ヵ処に集中しなければなりません。物事の表面の姿、形に執らわれて、好き嫌い、善し悪しの心の動きがあってはできません。このように、環境の事象にとらわれることなく、真実の在り方を見極め、対処して行くことを解脱ともいいます。この解脱の道を体得し、体解するのが禅の真義なのです。

 世界中の一人でも多くの人々が、釈尊のみ教えによって信仰に根ざした日常生活がおくれるよう、坐禅をおすすめ致します。
 
座禅の前に
 
 
一、合奏【がっしょう】
    相手に尊敬の念をあらわすことです。

両手のひらを合わせてしっかりと指を揃えます。
指の先を鼻の高さに揃え鼻から約十センチ離します。肘を軽く張り肩の力は抜くようにします。
 
 
 
二、叉手【しゃしゅ】
    立っている時、歩く時の手の作法です。

左手の親指を中にして拳を作り、これを胸に軽く当てて右手のひらでこれを覆います。
 
 
 
三、法界定印【ほっかいじょういん】
  正座の時、坐禅の時の手の形です。

右手のひらを上向きにして組んだ足の上に置き、その上に左の手のひらを同じように上向きにして置き、両方の親指の先をかすかに接触させます。

力を入れて押してはいけませんが、決して離さないようにします。
 
 
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